カナダで実施された、オンタリオ州公衆衛生研究所、トロント大学などによる調査にから、幹線道路の近くに住むと認知症のリスクが高まるとの結果が出ました。研究結果は世界五大医学雑誌である英医学誌「ランセット」に掲載されています。
幹線道路から50メートル以内に住む人が認知症を発症したケースで、その約1割は、交通量の多さが原因になっていると研究は示唆しています。さらに、幹線道路から300m以上離れた所に住んでいる人との比較では、幹線道路から50m以内に住んでいると7%も認知症を発生するリスクが高まりました。
道路から100メートル以内に住む人ではリスクが4%、200メートル以内では2%に下がっているので、その関連性が示唆されています。
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幹線道路沿いは、二酸化窒素などの窒素酸化物や、PM2.5などの微粒子状物質、タイヤの磨耗から発生する粒子などの有害物質を吸い込んでしまうためです。それが原因となり、酸化ストレスや、神経炎症を引き起こし、認知症の原因となります。
幹線道路沿いは、当然騒音が多くなります。特に影響が大きいのは睡眠への影響で、睡眠が断片化されることによって、脳の機能に悪影響を及ぼします。
気密性とは、家の隙間の大きさを表す指標(c値で表します)です。この値が小さいほど、家の隙間が小さく、大気汚染物質が入る隙間がより小さいということになります。住宅選びの際は、c値の値を営業マンに聞いてみてください。
百戦錬磨で話上手な営業トークに流されないためにも、数字で見える指標を持つことが大事です。
気密性が高い住宅でも、換気設備から微粒子や大気汚染物質が入ることが考えられます。そのため、換気設備の性能を確かめてください。PM2.5は、スギ花粉の10分の1以下の小さな微粒子です。花粉だけでなく、PM2.5をも除去できる高性能フィルターを備えた換気設備があれば、健康被害リスクから逃れることができます。
体温と健康リスクの関連性は大きく、東洋医学では、冷えは万病の元とされています。部屋の中で体温を下げないためには一定の断熱性能が必要となります。断熱性能が低く寒い家では、身体活動の低下や、ヒートショックなど、病気のリスクが高まります。
騒音により睡眠が断続的になり悪影響を及ぼしますが、ではどの程度の遮音性が必要なのでしょうか?
幹線道路沿いの音の大きさは、70dB(デシベル)ほどです。環境省の「騒音に係る環境基準について」によると、専ら住居の用に供される地域では、昼間は55dB以下、夜間は45dB以下と指定されています。つまり幹線道路沿いに家を建築する場合は、最低でも25〜30dB以上は遮音する必要があるのではないでしょうか。
建築では遮音性能の評価には「D値」または「T値(サッシ)」という値で表現します。つまり幹線道路沿いならD -30、ピアノ室を作るにはD -50以上の遮音設計が必要です。そのため、騒音に悩まされない快適な家を建てるためには、防音性の高い建材の使用や間取りを工夫するなど、家の設計から音に対する十分な配慮を行う必要があります。
幹線道路沿いに住む人が認知症になりやすい要因
認知症にならない住環境作りのポイント
認知症予防には、運動や、食習慣も大切ですが、住環境も影響を与えることが明らかになりました。
ぜひ、住環境作りの参考になれば幸いです!
BBCニュース「幹線道路沿いに居住で認知症リスク高まる=調査」
EXCITEニュース「高速道路の近くに住む人ほど認知症リスクが高い」600万人を追跡調査
WELLNEST HOME「大気汚染物質PM2.5を住宅で予防する3大原則とは」
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