近年、女性の冷え性だけでなく、子供にまで低体温が増えています。なぜ今こんなに低体温が増えているのでしょうか?その原因と対策をまとめます。
低体温であることは「冷えは万病の元」と言われるように、あらゆる疾患の原因となります。
最近では、35℃台の方が大人だけでなく子供でも(!)珍しくないですが、実は最もガン細胞が活発化する温度でもあります。
体温が低下がすることで、血の巡りが悪くなります。血液の循環が良くないと、免疫力の低下や新陳代謝が低下するため、あらゆる体調不良や病気になりやすくなります。
頭痛、肌荒れ、肩こり、疲れやすさ、だるさ、胃の不調、食欲低下、腰痛、便秘、下痢、生理痛、不眠、静脈瘤、むくみなど、、、誰でも普通に感じることがあるような体調不良にも結びついています。
体温を測る時間は、幼稚園や保育園、学校に行く前の「朝」に測ることが多いのではないでしょうか?しかし、朝は1日の中でも体温が低い時間帯で、午後から夕方にかけて高くなります。朝は夕方よりも0.5〜1℃ほど低いと言われます。
一番正確な平熱の測り方は、1日の中で複数回測り時間帯ごとの平熱を調べ、さらに日を置いて何回か測る方法です。(http://www.terumo-taion.jp/terumo/report/18.html:『知っておきたい体温の話』テルモ研究所)
また、体温が高いからといって、悪いと判断するのではなく、一つの体の抗体反応であるととらえるべきです。風邪などを引いた時に体温が上がるのはウイルスを退治するためなので、ウイルスが出ていけば脳から体温を元に戻す指令が与えられます。
低体温になってしまうのは、複合的な原因が考えられます。
一昔前はなかった食品添加物や農薬。そして化粧品や洗面用品にも含まれる化学物質の経皮吸収など、ホルモンバランスを乱すものが溢れています。家族の健康のために、少し値が張ってもそれで健康が買えるならば、健康に良い商品を選びたいですね。
機械の風による冷暖房の使いすぎにより、自律神経が持つ体温コントロール能力の低下が考えられます。それ以外にも、自律神経は精神的なストレスによっても乱れます。無意識的に健康管理をしてくれている自律神経を整える方法はこちらの記事でも紹介しています。
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朝、子どもの熱を測ってあげたら37℃!「微熱だ」と判断する前に、子どもの平熱を正確に把握できているでしょうか?
近年の子どもたちには、低体温の子どもが増えているようです。子供低体温には、身近な生活習慣や環境など、昔はなくて今ある”自然の中にはなかったもの”に原因があるかもしれません。
このグラフは子どもの平熱の推移を表しており、1960年から1980年にかけて大きく低下しています。
また、平熱が子どもでも35℃台という低体温の子どももいるようです。(参照:http://www.terumo-taion.jp/health/teitaion/01.html:「低体温児が増えている」テルモ体温研究所)
生活のリズムの乱れが一つの原因である可能性があります。ある調査では、無作為に選ばれた子ども400人を調査したところ18%もの子どもが36℃未満で、就寝時間が遅く睡眠不足の傾向であったり、食生活リズムの不安定さが伺えたと言います。
さらに、以下の記事では学習意欲の低下や、子どもがすぐにイライラしてしまう原因は、体温の異常にある可能性を指摘しています。
http://healthpress.jp/2014/11/post-1299.html:(『体温の低い子どもが増加、学習意欲や忍耐力の低下を招く一因か!?』 HEALTH PRESS)
食生活や、睡眠などの生活リズムが乱れている場合はすぐに改善しましょう。また、大人もテレビゲームや携帯などの画面の見過ぎも、生活習慣の乱れの一因となります。
そして現代のクーラーを当たり前のようにつける環境は、自律神経による自然な体温調節機能が衰えてしまいますので、住環境が健康に及ぼす影響も無視できません。子どもと家族の健康のために、まずは平熱の把握と、生活習慣の見直しをしてみてください。
原因となっている可能性があるホルモンバランスや自律神経を整えること以外にも、日々の生活習慣から改善することもできます。
タンパク質を含むものは、体を作るのに重要です。肉だけでなく、卵や魚もokです。野菜では、にんじん、ごぼう、大根などの冬野菜や根菜は体を温める食材です。今の季節なら積極的に摂取したいですね。冬の定番のお鍋は、全部の栄養を無駄なく摂取できるのでオススメです。
逆に、ナス、ピーマン、トマト、などの野菜は体を冷やすという面からは、寒い冬にたくさん食べることはオススメしません。
「部屋が寒い!!」というのは最も分かりやすい原因です。まずお部屋に、温湿度計はありますか?最近の温湿度計は注意の表示もあるので便利ですね。住宅の温湿度と健康には大きな関係があります。足から冷えてしまったり、脱衣所やトイレが寒いとヒートショックを起こすこともあります。
そのため、一部分だけ暖めるのではなく、家全体の断熱性能を高めることが温度の段差をなくすコツです。
「クリミアの天使」と呼ばれたナイチンゲールは、今や世界の偉人の一人として数えられています。
ナイチンゲールと聞くと看護師として一生を捧げたようなイメージを持っている人もいるのではないでしょうか。ナイチンゲールは看護師のみならず、著述家、科学者、統計学者、病院建築家、社会改革者と、様々な側面を持ち合わせた偉人なのです。
そんな彼女が特に力を入れた健康的な住環境のポイントは、「換気」と「保温」でした。
ナイチンゲールの著述によると、汚れた空気とは
①酸素量が少なく炭酸ガスが増えている空気
→ 現代においては、環境基準を大幅に超えた大気汚染物質などが汚れを形成しています。
②室内の病原微生物やホコリや汚れから発生する有機物により汚れた空気
→ 室内にある臭気を放つものは全て、それらの臭気を、人が吸う空気に発散させています。部屋干ししている洗濯物も汚染源になり得ます。
③人間が発生する汚れで汚染された空気
→ 呼気や便がこれに当てはまります。
ナイチンゲールは、機械による換気に頼り過ぎず、自然の外の空気を取り入れることと、窓は下部ではなく上部を開けることを提唱しています。下部を開けると室内が冷えやすくなるためです。また、病人が、吹き抜ける空気に直にされされることのないように気を配るように指摘します。
換気は重要ですが、部屋の温度まで室外と同じに冷やす必要はありません。暖かくして快適に保つことが重要です。室温は24℃前後が理想的です。特に病気で衰弱している患者は、体熱の生成がうまくできず、自力で体温を保つことが難しいです。
冬場は、首回りや足、お腹周りを温めます。食事は身体を温める食べ物を摂り、内臓から温めてください。適度の運動も、熱生産を高め、筋肉からの発熱を促します。
人間は、肺と皮膚から24時間で少なくとも1.7リットルの水分を排泄していると言われます。その水分には、すぐにでも腐敗を始める有機物が含まれ、寝具や寝衣には汚れが染み付いています。
汗や皮脂、垢やフケなどの老廃物が全て寝具に溜まっていくのです。寝衣はできれば毎日、シーツやカバー類も、週1回は交換するように提唱されています。
ナイチンゲールは部屋の環境を保つためには壁の清潔を保つことも重要だと言っています。もっとも不潔なのは、壁紙を貼った壁です。壁の汚れを放置し続ければ、換気をしても部屋の空気は常に汚染された状態になり、カビ臭い部屋になってしまいます。
壁紙の壁の張替えなど、メンテナンスを怠らないようにしましょう。
ナイチンゲールは「住居の健康」を左右する条件として、①清浄な空気 ②清浄な水 ③効果的な排水 ④清潔 ⑤陽光 の5つを挙げました。
19世紀当時のパリの病棟は、換気への配慮もなく、多くの患者を収容することだけを目的とした病棟でした。これを見たナイチンゲールは、住環境を変えることで感染症を予防したり、回復を早めたりできると考えました。そうして出来上がったのが聖トマス病院のナイチンゲール病棟です。
各階で、病棟内に仕切りをつけて、多くの病室を作らずフロア全体を一つの部屋にしました。そして患者一人一人に新鮮な空気がいきわたるように、全てのベッドを窓際に配置。窓は両面の壁に付いているので、換気と採光がしやすい間取りにしました。
「病人が求める一番のものは新鮮な空気。二番目は陽光です。」とナイチンゲールは言います。陽光には、
などがあり、健康の維持や病気の治療に欠かせない条件と言えます。陽光によって、体が本来持つ機能が活性化し、自然治癒力を高めてくれるのです。
19世紀の病棟は、不潔の巣窟のような場所であり、院内で感染症にかかって命を落とすようなケースもありました。入院患者は下層階層の人々で、そこで働く看護師も、まともな教育を受けていない下層の人々でした。そこで独自の看護の研究を重ねたナイチンゲールが、看護の定義を明らかにし、数々の著書も執筆しながら世の中に正しい看護を広めていったのです。
その中でも、病棟や、住居の環境についても健康への影響が大きいことを提唱しました。
現代では、排気ガスや放射性物質等の大気汚染や、電磁波や化学合成物質などの社会毒が蔓延しています。それらを防ぐためにも、住環境の改善は、人間が健康的な生活を送るためには、必須の条件です。
高断熱高気密による温度、湿度の管理の仕方で、健康に与える影響は大きく変わってきます。人生の内、食事、睡眠、団欒などの長い時間を過ごす住居の環境は、毎日あなたの体に影響を与えています。
住環境を、体にストレスを溜め続ける環境にするのか、体を癒してくれて、毎日疲れをリセットできる環境にするのかは、あなた次第です。
昔はこんなにアレルギーの子は多くなかったのに、、、と思っている親御さんも多いのではないでしょうか?実際に日本ではアレルギーやアトピーなどの疾患を持つ子どもは増加傾向にあります。
子どものアレルギーやアトピーなどの疾患は、2013年の文部科学省の調査によると、9年前から12万人の増加で、全児童・生徒の4.5%にも上ります。
『食物アレルギーの児童生徒45万人 9年で12万人増』日経新聞http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG1601A_W3A211C1MM0000/
いくつかの、原因と考えられている要素としては、
①食べ物:農薬、食品添加物などの影響
②衣料:化学繊維のものが増えたから
③住居:シックハウスなど
様々な要因が絡み合っているため、1つに特定することはできませんが、上記の生活習慣を改善することで予防することはできるのではないでしょうか。また、ある大規模な調査では多くの症状に対して改善効果が見られました。
近畿大学建築学部学部長・岩前篤教授による3万5000人を対象にした調査の結果によると、新築の高断熱高気密住宅の引っ越した人の中で、気管支ぜんそく、アトピー性皮膚炎、関節炎、アレルギー性鼻炎など15の諸症状について大幅な改善が見られたというデータが出ています。
その中でも、省エネ等級4以上など、より断熱効果の高い住居に引っ越した人ほど、改善効果が高い結果となりました。
回答者は、30代~40代の働き盛り世代とその子ども世代である10代までの男女が中心です。 (http://dannetsujyutaku.com/serial/column/1_index/1_02)
ではなぜこのような結果が得られたのかというと、岩前教授の見解では、住宅が暖かくなることで着衣量が減るからだそうです。現代では化学繊維の衣服が増えたことでその影響を軽減できること、そして着衣量自体が減ることで身体への小さなストレスの積み重ねが減るためです。
皮膚が衣類から受けているストレスというのは思いの外大きく、現代衣料の化学繊維やウール、ゴムなど、肌を刺激しやすい素材でできている物が多いです。オーガニックな自然素材でできた衣類を着用するか、着衣量を減らせるような住環境にすることがポイントですね。
また、基礎体温の上昇も改善に寄与していると考えられます。現代の子どもには体温異常であったり、低体温の子どもが増えています。低体温はアレルギー発症などとの関連性も指摘されています。
部屋と部屋の温度差は、血管や脳に負担がかかり、知らず知らずのうちにもストレスがかかり、基礎体力を奪っていきます。逆に室温が一定になれば、基礎体力が失われにくくなり病気の発生率も低くなると考えられています。温度の差をなくすバリアフリーは、高齢者のみならずお子様にとっても健康を保つ住環境の重要な要素の一つと言えます。
充実した1日の活力のために、質の良い睡眠は欠かせません。布団の中の最適な環境は、32〜34℃、湿度40〜60%と言われています。もちろん、室温25℃、湿度60%の維持も、できる限りしておきたいですよね。
温湿度を管理することによって、寝具の衛生対策にもなります。布団のケアをしておきたいのは、ダニ対策です。ダニは高温に弱いので、スチームアイロンなどが効果的です。その後、掃除機でダニの死骸等を取り除きます。
布団の中はダニにとっても理想的な環境です。日中はしっかりと乾燥させておきましょう。
環境省では、省エネのために、夏場のエアコンの設定温度を28℃にするように呼びかけています。夏場に28℃設定というと暑そうなイメージもしますが、湿度によって不快感は変わるのもです。
健康に良い湿度は、40%〜60%と言われており、室温が28℃の場合は、湿度45%で不快指数75、10人いたら一人だけが不快に感じる環境です。せめてこのくらいは保ちたいですね。それ以下の湿度だと、より快適に感じる人が多くなります。
不快指数は温度と湿度がわかれば、簡単にweb上で計算するソフトも利用できます。部屋の温湿度調整のご参考にしてみてはいかがですか?
最近では温度だけでなく湿度も調整してくれるエアコンもあるので、住環境を整えるのには有効ですね。
部屋の環境による様々な疾患への影響や、子供への影響は毎日の小さな積み重ねで結果は大きく変わります。家は外から帰ってゆっくりくつろぐ「巣」であると私たちは考えています。この記事が安心で快適な住環境のお役に立てれば幸いです。
室内環境は、「健康」と「生産性」という2つの面において、人生を大きく左右します。
まず日本では、部屋の温度差による健康被害があまり広く知られていません。特に、寒い冬に気をつけたいのが「ヒートショック」。さらに、「仕事の効率を上げるために室内環境に投資する」という考えも、欧米に比べると浸透していないようです。
2000年にWHO(世界保険機関)が初めに提唱したのが「健康寿命」。健康寿命が「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」と定義されています。寿命までの残りの期間は、「健康ではない期間」ということになります。
日本の平均寿命と健康寿命の差は、男性が約9年(平均寿命80歳、健康寿命71歳)、女性が約12年(平均寿命86歳、健康寿命74歳)です(厚生労働省「厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会資料」(平成26年10月)より)。
平均寿命 | 健康寿命 | 差 | |
男性 | 80.21歳 | 71.19歳 | 9.02年 |
女性 | 86.61歳 | 74.21歳 | 12.40年 |
死の直前まで元気でいること、いわゆるピンピンコロリでいるためには、健康寿命を伸ばすことが大事です。WHOでは、「ジャカルタ宣言」で健康を規定する13個の要因をあげています。
まず第一に重要なのが「平和」。その次に「住居」をあげています。健康を保つためにいかに住居が重要視されているかが示されています。
その住環境についての中でも、化学物質、ダニ、カビ、ハウスダスト、窒素酸化物などの空気の汚染問題、結露やヒートショックなどと繋がる温熱の問題があります。
その中でも特に重要なのが住居の温熱環境です。以下の図は「高気密・高断熱住宅への転居と有病割合の関係」を示した表(伊加賀俊治、江口里佳、村上周三、岩前篤、星旦二ほか:健康維持がもたらす間接的便益(NEB)を考慮した住宅断熱の投資評価、日本建築学会環境系論文集、Vol76,No.666 2011.8)です。
転居前 | 転居後 | |
アレルギー性鼻炎 | 28.9% | 21.0% |
アレルギー性結膜炎 | 13.8% | 9.3% |
高血圧性疾患 | 8.6% | 3.6% |
アトピー性皮膚炎 | 7.0% | 2.1% |
気管支喘息 | 6.7% | 4.5% |
関節炎 | 3.9% | 1.3% |
肺炎 | 3.2% | 1.2% |
糖尿病 | 2.6% | 0.8% |
心疾患 | 2.0% | 0.4% |
脳血管疾患 | 1.4% | 0.2% |
表を参照すると、すべての項目において、高断熱高気密住宅に転居すると疾患が改善していることがわかります。それだけ、住宅の温熱環境と疾患には関係性が不快と言えます。
ヒートショックとは、急激な温度変化によって起こる健康被害の一つです。冬場の入浴時に特に多く現れます。
1年間で、交通事故による死者数のおよそ4000万人に対し、入浴中の事故死者数は1万4000人と、交通事故の約4倍にのぼります。
急激な温度変化により、血管の収縮と拡張が繰り返され血圧が変動し、血管や脳に負担がかかります。突然のめまいや身体の痛み、頭痛。さらには、失神や心筋梗塞、脳梗塞、不整脈を引き起こす恐れもあります。
ヒートショックは冬場に最も多く、被害者数は12〜1月は、最も少ない8月の10倍にのぼります。暖房で暖められた部屋(24℃)から、寒い廊下を通り、脱衣所で服を脱ぎ、また暖かい湯船に浸かるまでに、血圧が大幅に上下します。
寝ていてトイレに起きた場合も当てはまります。暖かい布団の中から、寒い廊下、トイレへ行く時も血圧に負担がかかり、これがヒートショックを引き起こす要因になるのです。
欧米においては、脱衣所や浴室、トイレ、刑務所に至るまで、18℃以上が保たれており、暖かい室内に住むのは当たり前の人権と認識されています。それに比べると、冬場、10℃以下になってしまう日本で一般的に多い室温レベルは、発展途上国レベルと言えます。人が普段いる部屋だけを暖房で温めればいいという日本と、建物自体の断熱性能を高めて全体を暖めるという欧米との、考え方の違いがあります。
ヒートショックで亡くなるのは大きな問題ですが、それ以外の若い人、女性や子供でも、身体にストレスが溜まり少なからず悪影響は出ていると言われています。若い人であろうと、他人事ではない問題です。
スマートウェルネス住宅等推進事業(国土交通省)の「断熱改修等による居住者への影響調査」から得られた結果によると、
断熱改修によって室温が上昇し、それに伴い居住者の血圧も低下する傾向が確認された。
という知見が得られています。(https://www.mlit.go.jp/common/001158517.pdf)
血圧は脳卒中や心筋梗塞とも関連が深く、高血圧の人ほどリスクは高まります。
現状では、そのような人々が、冬とても寒い家で過ごしているのです。住宅の断熱性能を高める事で、病気のリスクを軽減することができるので、これを改善するべきです。
さらに同資料の参考データによると、断熱性能の高い住宅が普及している国では、冬季死亡増加率が低いことがわかっています。最も低いのは、寒冷なフィンランド。高いのは温暖なポルトガルやイギリス、イタリアです。寒冷な国や地域ほど、住宅の性能が高くなったために、冬の死亡増加率が低いというのも、逆説的な話です。この傾向は、日本にも当てはまります。
日本では、最も冬季死亡増加率が低いのは、北海道です。断熱性能の高い住宅の普及率が、最も高いためだと言われています。
これからは、より温暖と言われていて、高断熱住宅の普及が少ない地域ほど、住宅の断熱性能を高めなければなりません。
会社の事務員も、学校の勉強も、オフィス、教室などの室内で行われます。暑すぎたり、寒すぎたりしたら集中力も持続しないことは想像に難くないでしょう。室内環境への投資は、どれだけ効果を発揮するのでしょうか。
D.Wyonの実験では、室内空気質の良否で、知的作業効率は6〜9%影響すると推定されます。作業者の賃金を考えると、室内空気改善のために投資した金額は、2年以内に回収できると報告しています。
国土交通省で、室内の環境が良くなれば、知的生産性(仕事や学習の効率)が上がるので、その経済効果を図る研究がされています。その中でも、室温が重要になるのは、事務作業や、論理的思考に影響があるといいます。
ある夏に行った実験によれば、25.7℃(わずかに適温より暖かい温度)にした場合に効率が最も良く、28℃の時は15%も効率が落ちたそうです。
ある研究では、教室環境を変化させた確認テストを用いた実験が行われました。その結果、
以上のような結果が得られました。室内の温度、空気質により、勉強や仕事の効率も変わることが示されました。室内環境を見直すことで、皆さんのお子さんの成績や、仕事の成果も、向上するかもしれません!
一般的に、オフィスコスト(人件費、賃料、通信費、その他)の中で最も大きいのが人件費です。このことから、人件費の効率を最大化することが求められています。
環境の良い空間のためには建物の省エネルギー性を高めることも現実的に重要です。ある研究では、建物に関わる投資額に対して、建物内で行われるビジネスの価値は1桁以上大きいので、その投資をビジネスの価値向上により回収するのは容易だとしています。
室内環境で仕事の生産性を上げるという考えは、これも欧米では取り入れられており、良い環境のオフィスを借りるために高い家賃を借りるという考え方が一般的になっているそうです。
生産性には、室内の温度だけでなく、照明やCO2濃度、天井の高さや窓の位置などの間取りに至るまで、多くの要素が絡みます。部屋を変えることで、子供の勉強の成績や、仕事の効率がアップするかもしれませんね!
寒くなると、常に暖房をつけていないと辛いという人も多いのではないでしょうか。エアコンの設定温度も人によって違いますが、それはエアコンの性能の違いではなく、体感温度の違いかもしれません。
エアコンやストーブに、現在の室温が表示されますが、実際の体感温度はそれだけでは決まりません。人の体は、周囲の物と、温度のやり取りをしています。これを輻射(ふくしゃ)と言います。そうすると、周囲の物の温度と、室温の平均値が体感温度になるのです。つまり、室温が20℃あったとしても、窓の表面の温度が10℃しかなければ、体感温度は15℃になってしまいます。
エアコンやストーブの設定温度は25℃、26℃以上にしないとうちは寒い!という方。窓の近くに行くとより寒くありませんか?断熱性能の高い窓や壁にすることが、根本的な解決につながります。
冬になると特に、空気の乾燥が気になりますよね。乾燥は肌の大敵ですし、インフルエンザなどの感染リスクも高まります。冬はどうしてもと、暖房を使うと湿度は下がってしまいますので、その時に加湿器も一緒に使うとします。
室温が20℃で、理想的な湿度と言われる60%にすると、12℃で結露が発生します。一般的なアルミサッシはこれ以下の温度になりがちですので、結露が発生し、部屋の湿度を奪ってしまいます。つまり、断熱性能の低い窓のサッシや壁は、除湿機の役割をしてしまうのです。
加湿器をつけながらもサッシが結露していたら、まるで穴の空いているバケツに水を注ぎ続けているようなものですよね。最近広まってきている断熱リフォームは、乾燥対策のためにも有効なんですね。
ヒートショックの問題をはじめとする健康リスク、そして子供の勉強の効率の違いなどを見てみると、室内の温度ってすごく大事なことなんですね。
「健康」や、「子供時代に勉強した頑張り」は、失ってから、時間が過ぎてからでは、二度と取り戻せないものです。そう考えると、室内環境への投資は大きなものですが、それ以上の価値を生み出すと思います。